貧困大国アメリカのようにならないために政治をあきらめてはならない 〜堤未果インタビュー

貧困大国アメリカのようにならないために政治をあきらめてはならない
『政府は必ず嘘をつく─アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』
堤未果インタビュー
http://www.webdice.jp/dice/detail/3485/




「本当は政府は「期待」するものではなく「監視」する存在。そこを誤解して有権者が政治から目を離したすきに政府があっという間におかしな方向に暴走したのが911後のアメリカでした。そして311後の日本も、今それと同じ方向に行き始めている。」


「公約は「守られて当然」ではなく、「守らせるもの」なのです。」


「財界の人が自分のビジネスを都合よく展開させるような規制緩和を望む、あるいは労働組合の人が自分たちの身分を守ってほしいと願う。彼らは選挙と選挙の間も政治家から目を離しません。ロビー活動や献金に限りません。さまざまな形で、政治と日常をリンクさせている。すると財界や組合幹部と政府が癒着して、彼らの望む方向に政治が動いてゆくようになります。」


「日常の中で政治を意識しているか、という違いだけで大きな差を生んでしまう。アメリカを見ているとよくわかります。アメリカで過去自分たちの要望を政策に反映させることに成功してきたグループをみると、共通しているのは、「政治から目を離さない事」「リアルタイムでその時何が一番効果的に政治家、あるいは世論を動かせるか」に関心を持ち続け、生活の中で小さな行動を続けています。」


「今の民主党の政策決定プロセスをしっかり見てみて下さい。すごく独裁化して、野党の声も党内の反対の声も殆ど無視された強硬なやり方が常態化してしまっている。これは日本にとって深刻な危機ですが、一般の有権者たちにこの事実は殆どと言って良いほど届いていない。真っ先に追及する立場のマスコミがまともに報道しないだけじゃなく、国民が日常的に政治を見ていないことが、抜け穴を作ってしまっているのです。」


「完全に中立のメディアというのは幻想です。この本にも書きましたが、私たちに必要なのは中立メディアではなくカウンターになる存在です。映像だと今はニコ生みたいなノーカット動画とか。ツイッターは311直後からとっくに操作されているし、フェイスブックは利用者数が増える一方で、グーグル同様に欧米では不信感も広がっている。」


「創業者のマーク・ザッカ―バーグはフェイスブックについて、こんな発言もしています。「かつて人間が作ったものの中で、最も強力な大衆操作ツールだ」」


アメリカではよく、疑問を持たず、批判的思考ができず、政府のいう事を疑わない大衆が政治的にも商業的にも好ましいといわれます。「国民」ではなく「消費者」が一番効率がいいからです。」


「よく企業の内部留保が多すぎる、リストラするな、というような声がありますが、企業に直接モラルを押しつけてもコントロールはできないでしょう。国が国民を守るために、ルールを作るしかないのです。」


「母親のグループが都内を中心にどんどんできてきていて、どんどん国会議員のところに乗り込んでいってる。その流れで子どもと母親を放射能から守る法案(「子どもと妊婦を守る法案」)が生まれ、成立しそうになっている。彼女たちは、それまで政治は男の人たちが話す話題だと思って避けてきたという層。それが第五福竜丸の時のように再び立ち上がっている。若い人たちも一生懸命に動いています。法律を作るということは、社会を動かすということです。」